環境制御・生命維持技術に関するワークショプ参加報告

_ 4月6日にJAXA航空宇宙技術センターにて環境制御・生命維持技術に関するワークショプが有り、参加して来ました。私が丁度大学生時代に月面基地研究がブームだったのですが、2004年1月のブッシュ大統領による新宇宙政策よって月への回帰・火星の探査が発表され、日本もいよいよ月に向けて動き始めています。無人機ではSELENE,LUNAR-Aが有りますが、今度は有人の探査です。以前から折に触れ話題としております環境科学技術研究所の閉鎖生態系実験施設はNASAもロシアも断念した物理化学装置による世界一の閉鎖系実験施設であり、日本は月面・火星基地のための生命維持技術に関しては世界のトップランナーと言っても過言では有りません。ただ、そこまで行くための有人宇宙輸送技術が日本には無いのが残念でなりません。

宇宙農業サロン参加報告

_ 3月22日(火)科学技術館にて宇宙農業サロン会合に参加してきました。前回の1月27日は急遽仕事が入って行けなかったため、今回が初参加となりました。 内容としては、地球砂漠と火星の土壌、低圧・低酸素のヒトの生理的限界、キノコについて、耐塩性植物・海藻利用による Naの循環、耐塩植物ミズスベリヒユ、アオサなどの海藻、システムの概念設計にすすむために、Habitation2006および Laboratory Biosphere報告、海外動向、各学会への報告予定等盛りだくさんでした。サロン代表の山下先生、秋山豊寛元宇宙飛行士、そして長友先生にお会いすることが出来ました。私も参加するだけでなく、次回は閉鎖生態系生命維持システム関連で何か話が出来るように準備したいと思っています。ちなみに私は一番左に立ってます。

宇宙農業サロンの紹介

_ アストロバイオロジーを中心とした火星の探査をおこなうための生命維持を生物学的な要素と機能により実現しようとして宇宙農業概念を検討しているグループ、宇宙農業サロンについて紹介します。火星有人基地や火星居住を考えた場合、食糧の自給は避けて通れません。火星上で植物を育てる方法を考えておく必要があります。研究項目は、土壌とその評価、高温好気堆肥菌プロセスと土壌微生物生態系、宇宙でのセクシュアリテイ、宇宙農業・アストロバイオロジー探査と宇宙検疫、火星表面の放射線・紫外線とその生物影響、温室をつくるための材料・構造とその耐候性、政府によらない火星開発と多岐に渡っています。非常に興味深いテーマばかりなので、昨年末に私もメンバーに加えさせて頂きました。1/27に会合が予定されているので、最新情報をまたアップしたいと思います。また、1/19に第22回宇宙利用シンポジウムにて、「宇宙農業構想の基本骨格」の発表が有りますので、興味の有る方は是非おいで下さい。

宇宙用原子炉

_ NASAが宇宙用原子炉の開発に着手するようです。このような宇宙での原子力利用開発計画のことを「プロメテウス計画」と呼ぶようです。私は最初、記事を余り深く読まずに、原子力推進のことかとも思ったのですが、読売新聞の記事によると、逆に原子力推進は優先事項から外れたようです。つまり、宇宙ステーション、月面基地、火星基地等の発電用原子炉ということになります。大型宇宙船にも原子炉を積むかもしれませんが、これはあくまで発電用ということになります。実は日本でも超小型原子炉RAPIDなるものが研究開発されています。原子力は地球上では放射能汚染の心配が有りますが、宇宙では普通に放射線が飛び交っているので、ちゃんと防護出来ていれば、地球上ほど使用に敏感にならなくても良いメリットが有ると思います。

2005生態工学会年次大会参加報告

_ 2005生態工学会年次大会に参加して来ました。1日目は当社が関連している発表が3件有りました。当社は事務局の横にブースを開いており、そこにも居なければならなかったので、全ての発表は聞けなかったのですが、日本科学未来館の方から「社会が求めるミニ地球研究」と題する発表が有り、環境科学技術研究所の閉鎖型生態系実験施設が「環境(農業)」と「宇宙」を結ぶ存在であるとの意見が述べられていました。当社も宇宙と環境を2大テーマに掲げておりますので、非常に興味深い発表でした。2日目では、同施設の閉鎖居住実験の準備状況の発表が9件行われましたが、今回は「生命維持技術を取り巻くJAXA長期ビジョン」と題するセッションで5件の発表が有り、JEM以降の生命維持技術について活発な討論が交わされました。日本が誇れる生命維持技術として、どこをターゲットに研究開発を進めれば良いのか、現状の予算状況の中でそれを行っていくのは非常に厳しいことだと思われますが、是非頑張って推進して頂きたいと強く感じました。当社も閉鎖型生態系実験施設用挙動予測システム開発の一翼を担っており、積極的に貢献して行きたいと考えております。