キューブサット物語を読んで

_ 先日、東大のCubeSat XI-Vが打ち上げられましたが、その前のXI-IV、東工大のキュートIの開発経過を綴った「キューブサット物語」を読みました。次から次に発生する技術課題を克服し、打上げロケットの契約トラブルや延期等を乗り越えて見事に自作衛星を軌道に乗せた手に汗握るドラマに本当に引き込まれました。この成果に触発されて、現在では多くの大学・地域で小型衛星開発プロジェクトが進行しています。11/9-11に広島で行われる第49回宇宙科学技術連合講演会では小型衛星に関する発表が目白押しです。当社も湘南事業家フォーラムで小型衛星開発プロジェクトに参画しており、情報収集のため広島入りする予定です。

STSJ宇宙セミナー参加報告

_ 10/29にThe Space Tourism Society Japan(STSJ)の宇宙セミナーに参加してきました。セミナーでは、最新の宇宙旅行ビジネスの動向についての報告が有りました。何とセミナー参加者の中で、SPACE adventuresのSub-orbital flightに申し込みをされた方が2名居りました。申込金は1万ドルだそうです。また、有人宇宙システム株式会社(JAMSS)の中尾氏からJAMSSの紹介と品質保証に関する講演が有りました。その後、懇親会にも参加しましたが、STSJのスタッフの方々、宇宙旅行ビジネスのベンチャー企業を起こそうと考えている方、新聞社の記者の方など、宇宙旅行に興味のある方達と語らうことができ、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。次回のセミナーも是非参加したいと思っています。

月の資源

_ ハッブル宇宙望遠鏡の高性能カメラによる紫外線観測の結果、月面に酸素を含むチタン鉄鉱が広範に分布している可能性があることが判明したそうです。チタン鉄鉱から酸素が取り出せれば、生命維持のための酸素やロケット燃料として利用できます。月面の資源と言えばヘリウム3が有名ですが、核融合発電が未だ実現できていない現状では、ヘリウム3の採掘のために月面基地が必要と言う論理は成り立ちません。酸素が取り出せることで月面基地の必要性が高まることは無いでしょうが、生命維持のための酸素や帰りの燃料を持って行くためのエネルギーが節約できるので、月面基地の建設が容易になることは確かです。しかしながら、先日の宇宙用原子炉計画と言い、月面基地の話題がこのところ多いです。それもこれも、NASAの有人月面探査再開発表の影響でしょうか?

有人宇宙飛行が熱い

_ 第56会国際宇宙会議福岡大会にて10月18日に民間宇宙旅行に関するパネルディスカッションが有ります。Space Future Japanのコリンズ教授やX PRIZEのピーター・ディアマンデス氏、ライブドアの堀江社長がパネラーとなって居ます。16日にも堀江社長が宇宙旅行ビジネスへの本格参入を表明するようです。既にロシアの企業と提携し着々と準備を進めているとのこと。折りしも、ロシアがJAXAに新型有人宇宙船「クリーペル」開発への参加を打診しました。ISSで懲りたアメリカ/NASAが月・火星への有人宇宙飛行で一国主義に向かっているのと対照的にロシア、ヨーロッパ、日本は国際協力路線に進み始めています。そこに神舟6号の打上げを成功させた中国が加わって、三つ巴の争いになるのでしょうか? 良い意味での競争が行われれば、有人宇宙飛行技術の発展が促進されるので歓迎すべき状況ではないかと期待しています。

宇宙エレベーター

_ アメリカの会社が宇宙エレベーターの実験に成功したそうです(詳細はYahoo!ニュース参照)。宇宙エレベーターは軌道エレベーターとも呼ばれます。SFの世界では後者の方が有名ですね。これが実現出来れば、宇宙への物資・人の輸送コストを画期的に下げることが出来ます。航空宇宙工学科出身の人間としては、どうしても水平離着陸・完全再使用型のスペースプレーンに憧れてしまいますが、経済的には軌道エレベーターの方が遥かに安いでしょうし、環境面でもスペースプレーンが頻繁に行き来するようになると大気汚染の心配が有るので、軌道エレベーターの方に分が有ります。最も、実現性の面では、今のところスペースプレーンは近未来技術、軌道エレベーターは限りなくSFに近い存在なので、勝負になっていませんが。