宇宙用原子炉

_ NASAが宇宙用原子炉の開発に着手するようです。このような宇宙での原子力利用開発計画のことを「プロメテウス計画」と呼ぶようです。私は最初、記事を余り深く読まずに、原子力推進のことかとも思ったのですが、読売新聞の記事によると、逆に原子力推進は優先事項から外れたようです。つまり、宇宙ステーション、月面基地、火星基地等の発電用原子炉ということになります。大型宇宙船にも原子炉を積むかもしれませんが、これはあくまで発電用ということになります。実は日本でも超小型原子炉RAPIDなるものが研究開発されています。原子力は地球上では放射能汚染の心配が有りますが、宇宙では普通に放射線が飛び交っているので、ちゃんと防護出来ていれば、地球上ほど使用に敏感にならなくても良いメリットが有ると思います。

セントリフュージ(Centrifuge: 生命科学実験施設)

スペースシャトルと国際宇宙ステーションは誤りであったと、NASA長官がついに本音を暴露しました。これらの計画に携わってきた方々の事を考えると、何ともコメントのしようが有りません。ただ、一旦始まった巨大公共事業の間違いに気付いていても、途中で止めることも、誤りを認めることも出来ないことが多い日本に比べれば、遥かに勇気ある言動だなとも思います。
とにかく残念なのは、セントリフュージの中止です。今までにも、何度か中止になりそうになったことがあり、その都度、日本宇宙生物科学会等から建設要請活動をNASAに対して行っていました。セントリフュージは、限りなく無重量に近い宇宙において、重力を発生させて各種の生命科学実験等を実施できる設備です。とりわけ私が注目していたのは、6分の1Gの月面や3分の1Gの火星を模擬した実験を行なう事が出来るため、月面基地・火星基地建設のための技術を磨く上でも重要な設備だったことです。今回はかなり難しいとは思いますが、何とか復活はならないものでしょうか?

月へ再び

_ 最近、月の話題が盛り上がっています。NASAは2018年に人類を再び月に送る計画を発表しました。有人探査船(CEV)と、月着陸船の二つをそれぞれ別のロケットで打ち上げて、地球周回軌道上でドッキングさせて月を目指すこととなるようです。この二つの宇宙船には液化メタンを燃料としたエンジンが搭載されるのですが、それは将来の火星への有人飛行に向けて、火星の大気からメタンを抽出して燃料とすることを見据えているからだそうです。

一方では、スペースアドベンチャーズ社から、「DSEアルファ計画」と銘打った「民間人月世界旅行」(月の裏側への飛行)が発売されました。月面・火星基地に関する研究を行っていた私としましては、「いよいよここまで来たか」と言う感慨が有りますが、日本の現状を見ると、宇宙ステーションに「きぼう(JEM)」もまだドッキングされず、日本人を宇宙に上げる宇宙機も持っていません。是非、JAXAが発表した長期ビジョンが実行され、日本独自の有人宇宙技術が発展することを祈りたいです。

小惑星2004MN4

_ このところ、JAXA/ISASの小惑星探査機「はやぶさ」や彗星探査機「ディープインパクト」と地球近傍の惑星間空間の探査機の話題で賑わっています。これらの天体の中には、地球の公転軌道と交わる軌道のものも有ります。この中で、昨年発見された小惑星2004MN4は、地球への衝突の確率が2029年に1/37も有ると騒がれました。さらに詳細な観測が継続された結果、地球には衝突しないことが判明しましたが、2029年の地球への接近で軌道が変更されると、今度は2036年に1/12000の確率で地球に衝突する可能性が有るそうです。もし、地球への衝突回避を今の科学技術力で行おうとしたら、2029年以降では軌道変更に膨大なエネルギーが必要となり極めて困難となるため、2029年以前に2004MN4に原子力発電推進器を設置して軌道を少しずつずらすことが可能なのだそうです。そのためには、遅くとも2014年までにこのミッションをスタートする必要が有るとか。

だから宇宙開発が必要だと短絡的に言えるのものでは無いですが、予防できるものならば、今からでも手を打った方が良いのでは無いでしょうか?

第49回宇宙科学技術連合講演会

_ 今年の11月9日〜11日に開催される第49回宇宙科学技術連合講演会に当社も共同研究で参画しているCELSSに関する発表が有ります。昨年に引き続き、今年も宇宙居住のセッションが有り、宇宙居住研究が少しずつ復活してきていることは嬉しい限りです。ざっとプログラムを見ると、小型衛星の発表が非常に多いのに驚かされました。北は北海道から南は九州まで、日本全国で機運が盛り上がっているようです。当社が参画している湘南事業家フォーラムの宇宙部会で検討されている小型衛星の発表が無いのは残念ですが、来年は是非発表を行えるように努力して行きたいと考えています。尚、今の所、社員自らの発表は無いのですが、情報収集のために参加を予定しています。