このシンポジウムでは、宇宙医学をテーマに宇宙開発や宇宙実験を社会とどう結びつけて行くかという議論がJAXAと日本宇宙航空環境医学会の共催で行われました。今回、公開シンポジウムということで一般参加者として参加してきました。
まず、第1部では今までの実験や研究をもとにこれらの成果をどう社会に還元できるのかが主な話題でした。
・宇宙飛行士の睡眠と現代社会の睡眠事情
・宇宙での骨密度の低下と骨粗鬆症
・人工衛星による遠隔医療と無医師地域
など、現代の社会問題が宇宙環境を利用することによって解決していこうという内容でした。
第2部の毛利さんのお話では、
これまでの科学技術や研究によってあらゆるものがつながりを持って存在しているということがわかった。
生命の持続性の原動力とは、生きる可能性が高まること、そして次世代につなげることである。
ゆえに、宇宙開発とはその1ステップであり、地球ありきの宇宙開発というものを我々は進めて行くべきである。
と哲学的に語っておられました。来月、本[宇宙から学ぶ――ユニバソロジのすすめ (岩波新書)]を出版されるそうなので、興味のある方はどうぞ。
第3部は、JAXAが行っている「きぼう利用フォーラム」という企画の中で、採択された企画の説明を各企業が行いました。ここでも高齢社会と宇宙開発を結びつけた内容が多かったように感じます。
全体として、日本の社会問題を課題にして宇宙医学を応用させよう、特に、高齢社会で役に立つような研究開発を進めて行こうという流れが見受けられました。その中でも、遠隔医療技術はこれからの進歩と拡大が期待できそうだと思いました。
<参考資料>
http://iss.jaxa.jp/topics/2011/11/57medical.html
http://kiboforum.jaxa.jp/
(報告:森山 枝里子)