_ 本書は、火星探査機「のぞみ」のたどった12年間における科学者、技術者の苦闘を見事に綴っています。日本惑星協会のTPS/JメルのYMコラムで多少の事情は知っていたのですが、これほどのドラマがあったとは知りませんでした。個人的には、大学で惑星探査機の軌道設計を勉強したことが有るので、燃料節約のための川口先生のスウィングバイ軌道の設計には驚嘆させられました。日本発の惑星探査機は火星周回軌道には乗りませんでしたが、幾多のトラブルを乗り越えて、火星近傍まで行った技術の経験は大きな財産となり、次なる惑星探査機の開発に生かされることでしょう。アポロ13のようにハッピーエンドにはなっていませんが、お勧めの一冊です。